再確認、気候変動
IPCCの2018年特別報告書「+1.5℃特別報告書」という資料があります。インターネットでPDF(英語版、環境省の日本語概要版)を見ることができます。日本の環境省が概要説明資料の冒頭にこのグラフを転載しています。
これを素人の私はちゃんと理解していなかったことに気づきました。
このグラフは放射強制力(radiative forcing)の理論によって作られています。
⊿T=λ*⊿F
⊿T:増加温度(度)、λ:平衡気温感度(度/(W/㎡))、⊿F:放射強制力(W/㎡)
IPCCのシナリオRCP(representative concentration pathway)のあとに付けてある数字が、この放射強制力の値です。2100年に「2.6」「4.5」「8.5」などを仮定して、シナリオ(コンピュータによるシミュレーション)を作成しています。「1W/㎡」は地表面の温度を約「1度」上げるエネルギー量です。日本人にあまり馴染みのない華氏温度で計算します。算出された数値を今度は華氏から摂氏、おなじみの「℃」に変換してグラフ化されています。
このグラフは「⊿T=λ*⊿F」をもとに作成し、CO2の質量の変化と気温の変化を表しています。これが、IPCCのグラフの基本形です。
このグラフはシナリオを比較するために作成しました。RCPの後の数値が大きいほど、温度が上がる様子が良く分かります。このグラフは、シナリオ設定の前提をそのままグラフにしているので、専門家の人には自明のため、資料にそのままの形では掲載されていません。上記グラフは排出量(増加量)が一定です。IPCCのシナリオでは、年次毎に排出量を変化させて、未来に起こりそうな状況により近づけて表現されています。
【まとめ】
IPCCのシナリオ「RCP2.6」の「2.6」は、放射強制力の値を示しますが、上昇する華氏温度のことでもあります。つまり「RCP2.6」は「気温上昇、華氏2.6度」、「摂氏1.44度上昇する」シナリオという読み替えができれば、グラフをより良く理解できでしょう。
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